タグ=件名説

はてなブックマークを使い始めてからまだ日が浅いですが、うすうす感じていたことは、タグって件名みたいだなっていうことです。同じメタファーを使えば、ディレクトリは分類、サーチは全文検索でしょうか。
件名というのは、図書館では特別な意味があって、目録上で本の主題をあらわすキーワードのことをいいます。主題を表す言葉はタイトルに含まれている場合も多いですが、そうでない場合も同じくらい多いので、主題からも本を探せるようにするには、件名がきちんとついている必要があります。また、件名がついていれば、同じ件名の本を一覧するといったことが可能です。

  • 主題をあらわすキーワードである(複数与えることも可能)
  • 同じキーワードを持つものを一覧できる

とりあえずこの2点でもって、件名とタグは似ているなーと思っていました。もちろん違う面もあります。

  • タグは自由につけられるが、件名は統制される
    • たつをさんのエントリにある「タグの標準化」が、件名の場合は「件名標目表」に載っている言葉だけを使うというかたちですでに行われています。
    • 自分ひとり用のタグであれば好きなようにつけても問題はないでしょうが、複数のひとがタグも共有することになれば、おのずと統制の必要が出てくるでしょう。
  • 件名には相互の参照関係がある
    • 件名のそれぞれの語には、上位語や下位語、関連語などへのリンクが(場合によっては逆リンクも)くっついています。それらをたどることで、自分の探したい内容をより的確に表す件名を見つけることができます。
    • たつをさんのエントリにある「タグの構造化」と関連するかもしれません。

このように件名の効用を語ってきましたが、実のところ、日本の多くの図書館では件名がきちんとつけられておらず、まともに機能していません。件名標目表が貧弱だったことなど、いくつかの理由があるようです。昨年、国立国会図書館が十数年ぶりに件名標目表を改訂するなど、打開を模索する動きもあります。
はてブを使いだして、タグが便利なことに気づいてから、主題検索の重要性をあらためて考えるようになりました。思えば、カウンターでのレファレンスで件数が多いのはやはり、「○○についての本はありますか?」です。そんなときに件名がきちんと整備されていればと常に思います。ネットでタグが勝利するとしたら、図書館目録でも件名が勝利してくれないかなー。