ソラリス

ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション)
ソラリス / スタニスワフ・レム著 : 沼野充義
東京 : 国書刊行会, 2004.9
369p ; 20cm -- (スタニスワフ・レム・コレクション)
ISBN:4336045011 ; 本体\2400
ソラリスの陽のもとに』(飯田規和訳, ハヤカワ文庫)で親しまれてきた名作SFを、ポーランド語の原典から新たに翻訳。ロシア語版では削除されていた部分も含めた完訳です。
惑星ソラリスに存在する唯一の生命体は、その表面を覆う「海」である。惑星が発見されてからというもの、「海」の正体を探り、「海」とのコンタクトをとろうとする数知れない試みがなされてきたが、ほとんど成果をあげられないまま、次第にソラリス研究の熱もさめかかっていた。そんな中、ソラリス・ステーションに調査に赴いた主人公ケルヴィンが遭遇したのは、荒廃したステーション、同僚の死、そして……
ソラリスの陽のもとに』を中学生のときに途中まで読んで投げていたのですが、今回は面白く読めました。「ソラリス学」の系譜とか、そういう部分を楽しいと思えるようになったのが、成長なのか、職業的なものなのか(笑)。未知なる存在とのコンタクトってありふれたテーマではありますけど、その対象に「海」っていうわけのわからないものを持ってきたところが、やっぱりこの作品のすごさなんでしょうね。姿かたちは人間どころか生物ともかけ離れていて、意思の疎通もできない。友好か戦争か、みたいな話におさまらない、どうしていいのかわかんない手探り感。本当に「未知」なるものってこんな感じだと思います。先に触れた「ソラリス学」の系譜とか、「海」の作り出すナゾの造形物についての微に入り細をうがった記述とかが、そこに骨格を与えてくれています。