ぼた雪

朝起きてみると、けっこうな雪です。当地にはめずらしい、湿り気をふくんだぼた雪。自転車で行くのは苦しいと判断して、歩いて大学へ行きました。午前中ずっと降り続けで、これは積もると思っていたら、雪は昼過ぎに雨へと変わり、午後からは気温も上がってきて、帰るころにはほとんど解けてました。
「ぼた雪」は「ぼたん雪」とも言っていたような気がするけど地域差かな、と思って辞典で調べてみますと、以下のようなことになっています。

雪の結晶どうしが衝突してからみ合い,数十から数百の結晶がくっつき合って降ってくるものが雪片である。落下途中の気温が0℃に近いほど雪はくっつきやすい。東京などの暖候地では雪片として降ることが多く,ぼたん雪といわれる。落下速度は,直径1cmで0.8m/s,3〜4cmで0.4m/s程度である。
『世界大百科事典』第2版 「雪」の項目より抜粋
牡丹の花びらのように大きな雪片(せっぺん)として降る雪。冬の始まりや終わり、あるいは暖地で降る雪は、雪結晶が数個から数百個からみ合って雪片をなして降ることが多い。このなかでもとくに大きな団子状の雪片を牡丹雪という。大きさは数センチメートルであるが、ときには直径10センチメートルになることもある。
日本大百科全書』Japan Knowledge版 「牡丹雪」
多数の雪の結晶が付着し合って大きな雪片となって降る雪。牡丹の花びらのように降るからとも、ぼたぼたした雪の意からともいわれる。ぼた雪。*物類称呼(1775)一「雪ゆき<略>越路にて、ぼた雪といふ 上総にて、ぼたん雪と云」
日本国語大辞典』第2版 「牡丹雪」
[「ぼた雪」を美化した表現] 大きなかたまりで降る雪。
新明解国語辞典』第5版 「牡丹雪」
新潟県福井県・石川県・山形県庄内地方大分県などで)湿気のある大粒の雪。ぼたん雪
広辞苑』第4版 「ぼた雪」
越路にて云綿帽子雪の事也
『俚言集覧』 「ぼた雪」
雪片を云
同 「綿帽子」

もともとはその様子から「ぼた」と呼ばれていたのが、それじゃヤボなんで、ということで音の似ている牡丹になぞらえたというところでしょうか。新明解は「美化」と言い切っちゃってますし。あと、地域差もあるようで、広辞苑で挙がっている地方はだいたい日本海側です。富山が抜けてるのが個人的にナニですが。それにしても日本大百科の言う10センチというのはちょっと見てみたいものです。
余談ですが、日本大百科は冊子版とは記述が変わっています。お近くの図書館でご確認ください。このようにとくにup to dateではない事項についても、こつこつと改訂されているのだなぁと感心した次第です。