希望格差社会

希望格差社会 : 「負け組」の絶望感が日本を引き裂く / 山田昌弘著. - 初版
東京 : 筑摩書房, 2004
254p ; 20cm
注記: 文献目録:p247-251
ISBN:4480863605 ; 本体\1900
ようやく読み終えました。ところどころ著者の直感で書いてるような感じのところがあって、うのみにはできないなぁと思いましたが、それでも考えさせられるところ大でした。
私も今の仕事の試験に受かるまでは無職だったうえ、結婚に関しては今もって全くメドなしです。これは、魅力の欠如でもありましょうし、この本で言われているような「先送り」をしている部分もあるのでしょう。仕事の面で見れば、私のまわりは私よりぜんぜん仕事ができるのに非常勤のかたがおおぜいで、そのかたがたに比べると恵まれてはいるのでしょうが、私自身にしても、法人化した大学がいつつぶれるかわかりません、大学入学者がどんどん減っていくのは確実ですから。すくなくとも、今よりすばらしくよくなることは望みにくいのが現実でしょう。
著者によれば、今よりよくなるという「希望」・努力は報われるという「希望」こそが、ひとびとのやる気の原動力になります。そして現代は、いくら努力しても職に就けない・職を失う可能性があるといったリスクを、すべてのひとが抱えなければならない社会になっています。その結果「希望」を失うひとが増加しています。これは個人の努力不足に全原因を求めることはできません。社会全体で非常勤とか派遣といった雇用形態が常態化していることにより、安定した職業の空席じたいが少なくなっているからです。こうして「希望」を持てる階層と持たざる階層に分化している社会、それが表題の「希望格差社会」というわけです。
こうした事態への対処策として著者は、公的機関による就業支援とともに、過大な夢をあきらめさせることも重要であると説いています。夢を煽るような話がちまたにあふれる中で、これは画期的な発案と思います。私ももっと早く見切りをつけられていれば、もう何年も早く就職できていたかもしれません。まあ、その場合は図書館員ではなかったと思いますので、それが良かったかどうかはわかりませんが。あと、私の場合は過大な夢という以上に、コミュニケーション能力に問題があるため、結局は何年か遅れになっていたかもしれません。ていうか、いま就職できてるのもなんでなのかいまだにわからん。