小さな王子さま

小さな王子さま

小さな王子さま

昨年多数出た新訳のひとつ。実は、ほかの訳も含めて、初めて読みます。ですので、多くの人が親しんでいる、ナイト・アロー訳は読んでません。タイトルからして、それへのアンチテーゼ色が強いと思われるこの訳から入ったのが、吉なのか凶なのか。原題は "Le Petit Prince" なので、こちらが忠実といえば忠実です。訳注とあとがきによれば、「星の」という訳は、王子さまを場所的に固定し、物語性のみを前面に出す(=「王子との対話は、かつて子供であった飛行士自身との対話である」という内面性を隠してしまう)ことになるため、避けたとのことです。
訳のことはともかく、読み終えて考えたことは、もっと早く読んでれば素直にいろいろ感じただろうなということです。この作品を前提にした創作というのがとっくに世の中にはあふれていて、それらに知らず知らずに触れていたために、「大切なことは目に見えない」を代表として、どこかで見たような聞いたようなことがとても多い。もちろん、この作品がそれだけ多くの人の共感を呼び、さまざまな創作を触発してきたことのあらわれであろうと思います。
今回得た教訓は、名作・古典は早く読んどけということ。