ビブリオメトリックス

トムソン主催のシンポジウムに行ってきました。
http://www.thomsonscientific.jp/event/biblio/

いろいろ勉強になります。

  • 何のために何を評価するのかという枠組みをしっかり持つこと。それができて初めて、必要なツールやデータが決まる。
  • ビブリオメトリックスによる評価では、アウトプットしか見えない。インプットとの比較衡量は別の手段で行わなければならない。
  • ビブリオメトリックスはあくまで研究面の評価であり、その結果が大学全体の評価と直結するわけではないことも忘れてはならない。
  • インパクトファクターは研究業績の評価としては適切ではないという点。耳タコな話であるが、それだけなかなか浸透しないということなんだろう。

今回のシンポでも話題に上がった一例を紹介。大学評価・学位授与機構へ各大学が提出する実績報告書には、各組織を代表する「優れた研究業績」を選定して記載する箇所があります。それについて同機構から出されたQ&A集にこんな記述があります。

問11 研究業績の水準を説明する際、第三者による評価結果や客観的指標等を用いて説明することが求められているが、具体的には、どのようなものが想定されているのか。

答 外部の第三者による評価結果、客観的指標等は分野によって異なりますし、「学術面」「社会・経済・文化面」どちらの視点で判断するかによっても異なります。例として、以下が考えられます。
(中略)

  • 掲載された専門雑誌のImpact Factor、論文のCitation Index

(以下略)

中期目標期間の評価に関する説明会等における主な意見と回答(Q&A)Ver1.0 2007.7.9 p.3(2007-07-13参照)

ど直球です。で、質疑応答でどこかの大学の方が、インパクトファクターがだめだと言われても、他に代わるものがあるのか、ピアレビューったって、頼める先生を探して依頼するだけで大変な労力がかかってしまう、どうすればいいのか、みたいなことをおっしゃっていました。まあ、それも分からなくはない。サイテーション数が分かればそっちを使えばいいんですが、JCR*1は買ってるけどWeb of Science*2は買ってない(高くて買えない)大学もけっこうあると思うし。結局シンポでも明確な答えは出てなかったしなあ。

*1:Journal Citation Reports. インパクトファクターを調べるツール

*2:サイテーションを調べるツール