『鼻行類』の分類について

http://d.hatena.ne.jp/sinngetu/20050725#p1の続きです。本を未読の方は続きを読まない方がいいかもです。
架空の生物である鼻行類について、まったく通常の生態記録のような体裁を装った本です。これを書架分類でどこに分類するか。オンライン目録が発達したとはいえ、本との出会いは書架でということがまだまだ多い世の中、どこの棚に置いてあるかによって、その本がどんな読者と出会うかもかなり変わってきます。
架空なんだからやっぱり「文学」、というのがひとつ。NDLやBL、LCといった図書館では、「ドイツ文学」に分類されています。
ですが、ひとつどうしても気がかりなのが、「文学」に分類されていることで、「これはフィクションですよ」というメッセージが最初から発せられてしまうということです。できればこの本は、最初はそういう予備知識なしで読んだ方がいいと思うのです。自分がだまされたのが悔しいからではなく(笑)、だまされたのが嬉しいから。その奇怪な生態に、不気味な図版に驚きながら読んでほしい。
もうひとつのやり方が、堂々と「動物学」に分類してしまうことです。調べた範囲では、BNやDDB(お膝元!)では「動物学」に入っています*1。そして、NACSIS-CATやTRCも「動物学」です。

この場合の弊害というのは、ウソかホントかを利用者が読んで見分けないといけないのがひとつ*2と、利用者から「ププー、鼻行類なんて実在しませんよ? もしかして信じちゃってる?」とか思われてやしないかという妄想に図書館員が襲われること。ていうかそんなの私くらいでしょうが。
個人的な話ばっかですけど、私は生物学については学部3年までで終わってしまったので、どうしても知識が足りません。もっときちんと生物学を学んでいる人に読んでほしいなぁと思うのです。そういった意味で、私は「動物学」派。

*1:ただしDDBでは「文学」の分類標目も同時についています

*2:弊害とまでは言えないかもしれませんが